Water Smile Project

アステアステ:第2回WSPスタディツアー報告

アステアステ タイトル
 この記事では、JAFSが2010年から進めてきたウォータースマイルプロジェクト(WSP)について、
活動報告「アステアステ」から抜粋編集し、複数回に分けてお伝えしていきます。
 ウォータースマイルプロジェクトについては、こちら

第2回WSPスタディツアー報告

アステアステ 第2回

 WaterSmile Project第2回のバングラデシュツアーは、2011年2月27日~3月9日の日程で行われました。ダッカと、ボリシャル県で、前回(2010年9月)行なった子どもだちとの生活環境調査の結果を共有し、①安全な水利用の知識を伝える紙芝居作りと、②子ともたちの栄養改善の取り組み、について話し合いました。

 「栄養価の高い人の方が砒素中毒の割合が低い」という臨床結果や、健康改善のためにも栄養摂取は必須という考えから、WSPでは水の問題と栄養の問題を同時に、砒素対策への取組みとして、進めています。紙芝居では、子どもたちが、「砒素だけでなく水による感染症を防ぐにはどうすればよいか」を自分で考えるための働きかけとなることを目指しています。また栄養改善の取り組みとしては、後述の「種プロジェクト」を開始することになりました。

 現地のBDPスタッフや学校の先生方、子どもだちと、私たち日本からのメンバーが、一緒に頭を捻りながらプロジェクトを進めることの大切さと貢重さ、そして楽しさを、今回も実感することができました。

ツアースケジュール

2月27日(日)  ダッカにてBDPスタッフと打ち合わせ
28日(月)  WSPワークショップ(BDPスタッフとともに)
3月1日(火)  ダッカ→ボリシャルヘ移動
  2日(水)  BDP学校訪問
  3日(木)  教材作りワークショップ(BDP学校の先生たちとともに)
  4日(金)  ボリシャル→ダッカヘ移動
  5日(土)  休憩
  6日(日)  振返り
  7日(月)  アンケート翻訳作業
  8日(火)  今後の計画(BDPスタッフとともに)
  9日(水)  帰国の途
10日(木)  早朝 関空着、解散

種プロジェクト

 「家庭菜園では野菜を作っているのに、子どもたちは食べていないという状況が、
子どもたちの生活調査から明らかになりました。
 この状況をどうすれば改善できるかをBDPスタッフや先生方と話し合ったなかで
出てきたのが「種プロジェクト」です。

アステアステ種プロジェクト やさい

 子どもたちに野菜や果物の種を配り、家で育てさせる。できた収獲物は、
半分は売ってもよいが、半分は必ず家で食べること、というような規則を作る。
また、学校教育とリンクして、「観察記録」を子どもたちにつけさせる。
子どもたちが自分で育てた野菜に愛着をもって食べるようになる、というのがねらいです。

 できた収穫物を学校に持ってきてコンペティションをしたり、
収獲物を持ち寄って皆で料理して1日ピクニックをするなど、
子どもたちが楽しみながら取り組む方法についてのアイディアも出ました。
 同時に野菜に含まれている栄養素を教えることも重要です。

 バングラデシュは肥沃な土壌をもつ農業国です。BDPスタッフは、この国を
発展させるには子どもたちが農業に愛着を持つことが重要だといいます。
 この「種プロジェクト」は、そうした農業精神を養うことに繋がることも
期待されています。

 たくさんの可能性を持って、「種プロジェクト」がスタートしました。

アステアステ 種プロジェクト くだもの1アステアステ 種プロジェクト くだもの2

ツアー参加メンバの感想(一部抜粋)

南出和余
 今回は日本からは2人だけの参加で、バングラテシュ側のスタッフや先生たちには申し訳ないことをしました。しかし、WSPは順調に進んでいることを実感しています。 BDPスタッフや学校の先生たちは熱心に私たちの問いかけに応えてくれて、どうすれば子どもたちの生活環境を改善できるかを、互いに意見を出しながら検討できます。教育に特化するBDPですが、教育を通してできることはたくさんあり、教育が要であることを、実践を持って証明しているような気がします。
矢野綾都
 前回のツアーで出会ったBDPスクールのスタッフ、先生方が歓迎してくださったのがうれしかったです。私たちのやろうとしていることをすんなりと理解してくださり、とてもスムーズに進めることができたと思います。今回のツアーで、このプロジェクトでやろうとしていることが形になってきたように思います。さっそく種プロジェクトが始まりますが、BDPにかかわる方々と共に、Water Smile Projectを実りあるものにしていきたいです。
リヨン・ショルカール
 私は、WSP担当スタッフとしてこのプロジェクトに携われることに感謝しています。昨年9月に初めて皆さんに会い、バングラデシュのヒ素問題に関心をもって取り組んでくださることを知り、とても嬉しく思いました。今回は、ヒ素や水問題だけでなく、子どもたちの栄養改善の取り組みについても話し合いましたが、子どもたちに種を配って野菜を育てるのはとてもよい試みだと思います。私たちが直面している問題は膨大で、決して簡単に解決できるものではありませんが、子どもたちのよりよい将来のために、私たちにできることを共にやっていければと願っています。

 ※次回は、第3回スタディツアーと種プロジェクトについてお伝えします。お楽しみに!


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