インド少数民族居住区における女性自立に向けて
公益社団法人アジア協会アジア友の会が主催する「アジア国際ネットワークセミナ」のキーノートスピーカーとして来日した、ディリープ・バルサガレさん(Dr. Dilip Barsagade) をお招きし、10月22日(日)「JAFS関東会員ひろば」で交流会を行いました。
バルサガレさんは、インド・ヒュールアンベダカール社会学大学 教授として教鞭を執る傍ら、NGO団体・Society for People’s Action in Rural Service and Health (SPARSH)代表として、インドの少数民族居住区における女性の自立に取り組まれています。
交流会では、SPARSHの取り組み、~ 特に、インド先住民(アディワシ)の村に今も強く残る女性迫害の因習:ガオコール(GAOKOR)の問題や、民度を高めるための衣料提供の試みなど…~ について、貴重なお話を伺いました。
先住民の因習:ガオコール(GAOKOR)とは?
GAOKORとは、生理中の女性を、村社会から隔絶し、部落の外に追いやって、食事も提供せず、村との一切の接触を断つ風習で、古来より部族のしきたりとして行われているものです。女性は、村から離れた粗末な野小屋で寝起きし、水も食べ物も自分で得るしかなく、辛く危険な毎日を強いられます。
雨風をしのげるだけのものでしかないGAOKORの粗末な小屋、地面に布一枚敷いただけの寝起きする場所の様子…など、現実に今も行われている風習を切り取ったスライド写真に、多くの参加者は胸が痛む想いでした。
(SPARSHの取組みを説明するバルサガレさん)
古来からの因習は、それがどのようなものであれ、外から変えることは難しく、その地の人々に受け入れられる形での地道な取り組みが必要です。部族の習わしを理解・尊重しつつ、女性にとって危険や受難の少ない形に、少しずつ変えていく取り組み~例えば、GAOKORの小屋や、そこでの生活を少しでも安全で文化的なものにする~が、SPARSHのプロジェクトとして、進められています。
参加者からは、「日本でも、古来から、血を穢れと見なす考え方があり、生理中の女性は、神社に行ったり、まして神事に参加することは許されなかった。今もその習わしは残っている」という意見も出て、改めてGAOKORの問題が、自分たちに無関係ではないことに気づかされました。
JAFS関東で支援しようとしている「パダトラ小学校」に通う女の子たちも同じ境遇にあり、私たちに何ができるかを考えていく必要があります。支援先の村の暮らし向きや文化も、知ることができた点で、有意義な交流会となりました。
JAFS関東では、こうした課題への取り組み方法も、「パダトラ小学校」への支援と合わせ、引き続き検討していこうと話し合っています。
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