2014年10月に開催されたフィリピン・ソルゴン州マトノッグ地区でのマングロープ植林交流ツアー。土壌浸食を防ぎ自然生態のサンクチュアリ再生を目指すマングローブの植林活動、現地の村人との交流、フィリピンの現実~現地で見た負の側面など、スタディツアーの様子を参加者の武田さんがレポートしてくれました。
このスタディツアーの参加報告会を、11月22日(土)開催の「JAFS関東チャリティパーティ」で行いました。
汗を流した植林活動、異文化交流の貴重な体験、スタディツアーから学んだこと… 美味しい食事を楽しみながらの、アットホームなパーティでした!!
1日目
~ マニラ着 ~ 合流 ~ 市内観光 ~
今回のツアーの参加者は5名。参加者の皆さんがそれぞれのフライトスケジュールにてマニラに到着。全ての参加者の方が到着する迄 空港にて待機し、皆さんが揃ったところで市内のホテルへと向かいました。
送迎に来てくださったのは、Asian Friendship Society の提携団体メンバである ジュァンさん。日本が好きで、何度も来日されたことがあるそう。明るい笑顔と陽気なお喋りで、暖かく迎えてくださいました。
マニラ市内のホテルでチェックイン時、今回のツアーを現地のコーディネーターとしてリードをしてくださったジーナさんと合流し、マニラ市内を観光しました。
スペイン植民地時代の建物が多く残る地域や教会、更には、当初予定していなかった『スモーキー・マウンテン』 の跡地や その周辺の村を巡りました。
2日目
~ マニラ ~ レガスピ空港 ~ マヨン火山 ~ 椰子プロジェクト見学 ~温泉見学 ~現地マトノッグ町入り~
いよいよ現地入り。マニラから航空機にて1時間ほどかけ、まずはアルバイ州 レガスピ市に移動しました。
空港に降り立って出迎えてくれたのは 見事な景観のマヨン火山。 早朝からの移動で未だ眠気が収まらない状態でしたが、このマヨン火山の景観に眠気は一気に覚め・・・皆さん大絶賛しておられました。
その後 マヨン火山が位置するアルベィ州の景観スポットであるカグサワ・ルインズに移動し、火山の景色やココナッツジュースを堪能しました。
その後 車にて1時間強をかけて、マトノッグ町があるソルソゴン州に移動。 途中イロシンという地にある 「椰子プロジェクト」を展開する工場を見学しました。
この椰子工場で行われているのは、以下の工程でした。
1. ココナッツからの繊維の取り出し
2. 繊維を乾燥
3. 1, 2 で取り出された、長さ10cm~20cm、太さ 1mmにも満たない細かい繊細を縒り1.5mm~3mm程度の縄を生成
4. 3の縄を 機織り機を使用して網を生成
最終的に生成される「網」は、一見 漁業で使用される網のよう(参考:写真(5))。
最終的に生成された網は、山の樹木の植林時にネットとして使用したり、植林前のマングローブの苗を育てる為に使用します。そして、傾斜に張られた網は、土砂流を防ぐという役割も果たします。 そして年月が経過するとその網は土に返ります。
その自然の摂理に則った活用方法に ただただ感嘆するばかりでした。
ここで特筆すべきが、工場でお手伝いをする子供達のこと。
この日は日曜日だった為、普段工場で働く大人の子供達が沢山、作業のお手伝いをしにきていました (殆どが子供達ばかりだった為、この工場は子供達の労働で賄われているのかと思ったほどです)。その子供達の、なんと明るくて純真なこと。
その子供達にすっかり魅了され、参加メンバの皆さんも猛暑の中、時間が来るまでずっと子供達の傍にいて作業の様子を見たり、戯れたり、写真を撮ったりなどしておられました。
その後、ジーナさんのご厚意で、工場近くの温泉を見学。 温泉見学後、更に1時間くらい車を走らせ、マトノッグ町の宿泊地に到着。その後夕食をとり就寝となりました。
3日目
~ マングローブ植林 ~ 周辺村見学 ~ ティクリング・アイランド ~ ラグーン ~
いよいよ植林の日!
植林の場所は宿泊場所からボートで30~40分程度の場所にあります。潮の満ち引きも考慮して行う必要がある為、この日も早起き。 8時過ぎには植林地に入りました。
植林は60m×70mを1区画として行っていました。今回の植林は3回目で3区画目。 そこに 5,000本の苗を 前後左右1m程度の間隔を開けて植えていきます。
苗はまるでキュウリ! 植える土台が砂浜で埋めづらい為、木の棒を使って深さ5cm~6cm程度の穴を掘り、そうして空いた穴が砂で埋まらないように素早く苗を差していきます。
植林は現地の方達と一緒で、総勢 25~30名で行いました。現地の方は私達の倍速で作業していきます。 そのおかげで、幸か不幸か植え終わるのはあっという間。 おそらく2時間もかからなかったと思います。
馴れてきた途端に終わってしまった植林作業でしたが、最後に皆さんと記念撮影をして、一応けじめをつけた上で そこから移動。植林地近くの、パグフリアン村という、約117世帯 (2010統計) が暮らしている小さな村を訪れました。
パグフリアン村ではジーナさんが率いる組織AFSが支援しているプロジェクトを含め、村の様子を見学しました。 物質的には決して豊かとはいえないかもしれないけれども 心豊かに暮らしている、沢山の子供達を含めた村人達の姿に感銘を受けました。
村の訪問を終えたところで、ランチタイム。未だ11時過ぎでしたが 早起きで肉体労働もしている為、気分はすっかりお昼。パグフリアン村から、ボートで 20~30分ほどかけて ティクリング・アイランドという島に行き、美味しい昼食と海水浴を楽しみました。
美味しい昼食と海水浴を堪能した後は、ボートで30分程度かけてラグーンという地へ移動。そこで、海水上に展開されている天然の水族館を見学しました。写真にある通り、見事な美しさです。魚の餌付や、オーナーさんのお話しをお伺いする等して過ごしました。
ラグーンを後にし、4時過ぎには宿泊地に到着。 数時間の休憩をとった後、一緒に植林を行った現地の人々や 宿泊の間 賄をしてくださった地元の皆さんを交えつつ、最後の夕食を摂りました。
4日目
~ マトノッグ~ マニラ (市内観光) ~
マトノッグを後にし、往路と同様に車と飛行機でマニラに移動。これまでの行程は全て快晴でお天気に恵まれていましたが、マニラ到着時には豪雨に見舞われました。
その後、少々遅い昼食となりましたが15時くらいに マニラ湾を臨める海岸沿いのレストランで昼食。幸い雨が上がった為、オープンテラスで食事を楽しみました。
その後は諸事情のため 2手に分かれての行動となりましたが、フィリピンそしてマニラでの最後の夜を町廻りなどして楽しみました。
おわりに
マングローブや数々の美しい自然や、それに関わる人々との触れ合い、椰子プロジェクトや訪問した村々で出会った子供達の明るい笑顔、そして、マトノッグ滞在中美味しい食事を始めとして私達のサポートをしてくださった地元の皆さんのホスピタリティ に、感動と充実感を深く味わった4日間となりましたが、反面、フィリピンの 『暗』の部分も目にしたのも事実です。
マニラでスモーキー・マウンテンへの移動中に目にした、道路脇にズラリと並んでいる貧しい人達が住む小屋の数々、スモーキー・マウンテンの周辺の村で目にしたゴミの山や日本では考えられない光景の数々、市内で歩行中に寄ってきたスリの青年、パンツ1枚で体中を泥だらけにして物乞いをしてきた子供、教会で力なく横たわり 胸をあらわにして授乳をさせている女性の姿、そして、子供にライフルを突き付けている警官の姿・・・等々。
これらの状況には、参加メンバの皆さんも相当の衝撃を受けておられましたが、きれいごとばかりではなく、フィリピンの現実を暗の部分も共に目にすることができた体験となったと思っています。
今回ツアーでお世話になったジーナさんは、このようなフィリピンの現実を見据え、地元のNPO組織で様々なプロジェクトを展開し活動されています(マングローブの植林、椰子工場の運営、青年の教育、清掃活動や環境保全活動など)。
その活動と意味の底知れぬ深さと幅広さに諸々と思いを巡らせ考えつつ、数々の素晴らしく美しい体験を深く噛みしめながら、帰途に着きました。
参加メンバの皆さんにおかれましても有意義なツアーであったことを願いつつ・・・ 筆を置かせていただきます。
(武田 明沙香)
この記事へのコメントはありません。