クルマ・ガル(もう一つの生理の貧困)

遠いけど、他人事じゃない、女の子の生理 少数民族の女性たちを取り巻く習慣クルマ

インドに残る風習~クルマとは? (What is “Kurma”?)

クルマ(クルマガル)
クルマの例:立てかけた板がドアの役割になっています。外側から棒で支えています。

 「クルマ」とは、インドの少数民族のコミュニティに古来から残る、女性たちを取り巻く風習の1つです。

 そこでは、女の子は生理になると、小さな小屋のようなところで、集落から隔離されて過ごさねばなりません。

 この小屋は「クルマ(クルマガル)」と呼ばれ、村の中心部から離れたところに点在しています。

 クルマの小屋の9割には、ドアや窓がなく、生命にとって危険な環境にあるといわれています。

 インドには、少数民族の人々のコミュニティが、世界的にみて集中しており、多くのコミュニティにこうした風習が残っています。SPARSHの活動するマハラシュトラ州、ガッチロリ県もその一つです。

※このほかに、ガオコールGaokor、コプディKhopdi、などの呼び方があります。一方、同じような習慣の残るネパール西部では、チャウパディChhaupadiと呼ばれています

なぜクルマで過ごさなければならないの? (Why “Kurma”?)

 生理中の女性は「穢れている」という考え方が継承されており、娘が初潮を迎えると、母親が娘をクルマに連れていくことで習慣を受け継いでいくようになっています。

クルマの内部
クルマの内部
クルマの内部:日本でいう「土間」のような床の上に直接、敷布が敷かれています。
クルマの内部
クルマの内部:柱にはケロシンがかけられています。クルマは扉や窓がないものが多く、日中でもランプが必要です。ケロシンによる煙を吸い込むことで女性が亡くなるケースもあります

私たちは何ができますか? (What we can do?)

SPARSH代表、バルサガレさん(写真中央):地域の伝統的助産師とのミーティングなど、SPARSHはクルマにかかわる様々な人々と対話を続けています

 クルマという習慣について関心を持っていただくこと、そしてクルマについて疑問や考えを発信していくことは、実はとても大きなことにつながります。

 本会(JAFS)では、当事者に最も近い存在である、SPARSHの活動への支援を行っています。

SPARSHとは (What is “SPARSH” ?)

NGO, SPARSH
NGO, SPARSH

 SPARSH (Society for Peoples Action in Rural Service and Health) は、少数民族の人々の生活を支援する、インド国内で活動するNGOです。

 少数民族コミュニティの多くはジャングルや森の中に生活し、インフラや様々なサービスから最も離れた環境にあります。SPARSHは、こうした人々に対して、自立支援を行っています

SPARSHはどんな活動をしていますか? (What does “SPARSH” do?)

地域の女性たちとのワークショップ
地域の女性たちとのワークショップ

 SPARSH は、当事者である女性たちにかかわっています。

 女性たちに対して、生理のこと、生理の時に必要な体のケアについての勉強会や、再利用できる生理用ナプキンを作るワークショップ、クルマを修繕する活動を一緒に行っています。

 こうした活動から、女性たちに生理のことについて関心を持ってもらうよう促しています。

SPARSHの活動から
リユースできる生理用ナプキンをつくるワークショップ
SPARSHは、材料の提供可能な様々な支援団体とも協同し、女性たちが少しずつ生理に対して意識を向けられるよう、まずは環境にやさしいものを、自分たちによいものを、つくろう、といった、当事者が取り組みやすく、わかりやすいアプローチをとっています
SPARSHのサポートのもと、クルマの修繕を行う女性たち – 自分の手でクルマを直す活動に取り組む体験は、女性たちの意識を変え、一歩動き出す原動力になっていきます
クルマに初めて連れていかれる少女を描いた短編映画

 クルマの風習について、知っていただくためのムービーをご紹介します。

 YouTubeでは、日本語字幕付きで、ご覧いただけます

(菊池 美智子)


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