女性迫害の因習ガオコル

悲しい因習 ~ 生理が奪った命 – A period that can kill – Sakal Times から

インドの英字新聞 Sakal Times から

 インドの英字新聞 Sakal Timesに掲載された、クルマKuruma/ガオコルGaokor に関する記事を翻訳し転載します。Kuruma/Gaokor とは、生理中の女性を不浄なものとして、村から離れた小屋に追いやる因習(もしくは、その小屋のこと)。インドの一部の先住民族に今も残る女性迫害の習わしです。
 記事では、この問題へのインド政府の対応について、Sparsh代表のディリップ・バルサガレさんDr.Dilip Barsagadeのコメントも述べられています。Dr.Dilip Barsagadeさんには、昨年、JAFS関東会員ひろばで、ガオコルの因習と改善への取り組みについて講演を頂きました。

(ガオコルGaokorの小屋の様子)
(生理中の女性は村の外の粗末な小屋に追いやられる)

悲しい因習 ~ 生理が奪った命

シャタクシ・ガワレShatakshi GAWADE
2017年12月20日(水

gaokor(写真は、出典記事からの引用)

 「クルマKurma」とは、生理期間中の女性が自分の家から離れた小屋のような住まいに寝泊まりすることを強制される、マハラシュトラ州の一部の少数民族が従っている因習だ。女性たちは健康を害したり、時には死においやられることもある。

 その日、ジャヤンティ・バブラオ・ガワレさんMs. Jayanti Baburao Gawde 40歳は、家の外にある小さな部屋に入っていった。これはジャヤンティさんの部屋ではない。彼女が毎月行かなければならない苦行なのだ。この間は、他の女性たちも同様に、家の外の小さな部屋で眠らなければならない。それがクルマという習わしなのだ。

 この夜ジャヤンティさんは運がいいことに他にも生理中の女の子がいた。翌朝(11月15日)、この女の子は起きてまっすぐ家に帰ったが、ジャヤンティさんは目覚めなかった。すぐに病院に運ばれたが病院に到着したときはすでに亡くなっていた。あるジャーナリストは、ジャヤンティさんは血圧が急上昇したことで死亡したと報告した。村の人々は、ジャヤンティさんは家族と一緒に寝ていたらこんなことにならなかっただろうという。

 ガッチロリ県Gadchiroli districtにある”Sparsh”というNGOの代表を務めるディリップ・バルサガレ氏Dr.Dilip Barsagadeによると、クルマとは、マリヤMadiyaやゴンドGondといった少数民族の女性たちが従う習わしで、家のすぐ外にあることもあるが、通常は村から離れた小屋のような部屋だ。「クルマ・ガル ‘kurma ghar’(クルマという家)」は、みすぼらしい小屋であり、たいていドアがない、屋根は雨漏り、住むための設備のようなものは全くない、といったものだ。男性はこの付近には決して近寄らない。

 「この地域でずっと活動し、女性達と交流を続けてきたことで、女性たちはようやくこの因習が害をもたらすものであることを理解してくれるようになりましたが、村から追放されることを恐れてやめようとしない。人々にも信仰がありますから急に止めるなんて無理です。それならばせめて住むところは改善されるべきです」バルサガレ氏は言う。

 ジャヤンティさんの出身のエスタパリ地区Estapalli Talukのパワン・ラウト医師Dr. Pavan Raut はクルマ・ガルの不衛生な環境についても指摘している。「女性たちが病院に行こうとしないという問題もあるのです」

 国の人権局長the National Human Rights Commission はマハラシュトラ州政府に対して、「ガオコールgaokor(クルマの別名)」についての調査委員会を組織するよう求めたが、バルサガレ氏は、この2015年につくられた委員会はただのこけおどしで事実上なにもしていないと非難している。

 しかしながらガッチロリ県の行政長であるナーヤック氏Mr. ASR Naikは、この非難に対して異議を唱えている。県の行政は保育士Ashaや補助助産師Auxiliary Nurse Midwifeにワークショップを開いたり一緒に活動することで、慣習そのものがなくならないまでも変化が見られた村があるという。

 ナーヤック氏によると、行政が次のステップとしてすべきこととしては、このクルマ・ガルが受け継がれている地域がどこなのかさらに調査することである。さらに、この問題に取り組みプロジェクト案を提出しているSparshに対して資金を確保することを望んでいる。このプロジェクト案には、女性たちへの教育、能力育成、そしてクルマ・ガルの修繕や生活必需品の提供が含まれている。

 「この悲しい因習は少数民族社会の精神に深く根付いてしまっている。こうした社会的脅迫は撲滅が難しい。しかし私たちはできると信じてアプローチしつづけることで変化を起こすことができるだろう」ナーヤック氏はいう。

 一方、バルサガレ氏は懐疑的であり、「人々はまだまだこの因習のことを意識していない。さらに多くの人が死ななければ気づくことがないのではないか」と悲観的な立場をとっている。

原題:A Period that can Kill
出典:Sakal Times
URL:http://www.sakaltimes.com/art-culture/period-can-kill-10532
訳:菊池美智子 編集:川崎隆二


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