~アラハバードから~ 研修報告 (by 横山浩平)
インドのアラハバードに派遣され、窮乏層の経済的自立等の研究・研修に取り組まれた
JAFSスタッフ、横山さんが、現地での様子をJAFS会員紙「アジアネット」に寄稿されています。
この記事では、その内容をインタビュー形式でお届けします。
(横山さんは、東日本大震災被災者支援のため、急遽帰国され、
現在、三陸での被災地サポートに尽力されています。)
Q.研修の様子はいかがですか?
アラハバードに到着してから、はや1ケ月が経ちました。ここでは、
研修と言っても机に向かって講義を受けることはなく、実践しなが
ら学んでいます。農村の空気を感じ、青空を見ながらの研修はとて
も有意義です。
Q.研修では、どんなことをされているのですか?
これまで次のプロジェクトに携わりました。
①僻地の農村初等教育の普及
②医療環境と栄養改善
③自立収入向上(学部内)
Q.農村初等教育普及のテーマでは、どんな取り組みをされているのですか?
①の課題は、大学が運営する小学校7校の自立です。各先生が30
名の生徒を受け持ち、授業料25ルピー(約46円/30名/一ケ月)を得
て自立へと繋げています。先生は家庭訪問をして、学校に通っていな
い子どもの親を説得します。また、地域の風習で、女性は教育を受け
ると、ダウリー(結婚持参金)が高くなり、男性はより一層農業をしなく
なるので、親は子どもを学校に行かせることを拒みます。現在、3年後の
自立を目指し、日々奮闘をしています。
Q.医療と栄養の問題はどうでしたか?
②の事業の課題は、医療へのアクセスの向上と栄養の摂収にあり
ます。ここでは、妊婦の医療向上のために、自治体が医療センター
を運営し、助産婦を置きます。助産婦1人あたり3000世帯を受
け持っていて、人手不足であること、村から医療センターまでのア
クセスの悪さに加え、栄養失調、病気、死産、感染症などのケース
が後を絶たない状況にあります。そこで、村に赴き、適切な医療、
栄養指導を行うことと、村のヘルスボランティアゲループ(以下V
HV)を置いて、助産婦がいなくても適切な指導が行えるよう環境
を整えようとしています。
Q.どんな指導をしているのですか?
私が訪問した時は、栄養改善のセミナーを
するということで、ANMは乳幼児に必要なワクチン(ポリオ、日本
脳炎、BCGなど)とビタミン補給の投与を行いました。NGOの良い
ところは農村へのアクセスを持ち、地域でボランティア組織を作れる
ことにあります。国や自治体ではそのようなことはてきません。し
かし、国や自治体は医療を農村ヘ広げるサービスは提供できます。
お互いが協力して有効的なシステムとなっています。セミナーの際
にワクチン注射のショットを撮影してと要求に応じていたら、おし
りと注射の写真集ができてしまいました。
Q.自立収入向上の取り組みについて聞かせて下さい
③の自立向上事業は、農村だけでなく、学部の自立も目的
に立ち上げた事業です。大学などで、村で収穫した有機野菜やソー
セージやモモを売っています。あわせて、味噌、醤油をインド駐在
の日本人を対象に宅配して試行錯誤を繰り返しているところです。
Q.日本向けの販売はどうですか?
今年は日本米の収穫に成功しました。インド人スタッフでは、うま
く、日本米や味噌、醤油の良さを伝えられないので、手助けを行っ
ています。改良点を聞かれたので、商品販売用のパンフレットを作成
しました。これはJAFSでもやっていたことなので、その経験を活
かして、少しでも貢献できたと思っています。
現地スタッフは常に絶対成功するということを言い聞かせて、有
機日本米の栽培をやってきたそうです。評判も良く、今は売り切れ
も一部あるということです。もし、インド駐在で目本食が欲しいと思
われている方はaoac@ashaasia.orgにご一報ください。
Q.最後に、日本の人たちへのメッセージを聞かせて下さい。
インドの人だちと接することで、益々、インドの可能性
を信じるようになってきました。経済的な面だけでなく、人と人の
強い繋りによって私たち日本も、共に発展していく可能性を感じてい
ます。残り3ケ月の間に具体的な形ができるように収り組みたいと
思います。目本の皆様のご支援に感謝して。
(2011年2月アジアネット107号掲載の記事を元に編集)
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