ラカイン村・夢・プロジェクト

~少数民族の村を支える灌漑施設が完成!~ 感謝を込めた終了報告

 Our Dreams Come True!… 夢はかなう
  ~「ラカイン村・夢・プロジェクト」 終了報告~

 バングラデシュの少数民族の村に灌漑用井戸を贈る、「ラカイン村・夢・プロジェクト」。
 JAFS関東が、2009年から取り組んできた、海外支援プロジェクトです。
 目的であった、村人たちの生活基盤となる井戸が、皆様のご支援で完成し、
乾季に耕作できなかった土地に、今では、田んぼが広がるようになりました。
 この記事では、その終了報告をさせていただきます。

第一井戸の完成
 (↑第1井戸の完成:パネールチョラ村の村内)

第二井戸の完成
 (↑第2井戸の完成:乾期には水が引けない場所。)

灌漑井戸により潤い始めた農地
 (↑井戸からの水により潤い始めた農地)

ラカイン村・夢・プロジェクト

 バングラディシュ南東端の町、コックスバザールの東部に位置し、
敬虔な仏教徒たちの住む貧しい農村、パネールチョラ村。
 釈迦族につながる少数民族 ラカイン族が暮らす、人口1,700人ほどの小さな村です。

 村人の生計の支えは、家族経営による農業。
 しかし、農業の収穫は、雨期の洪水や毎年起こるサイクロンの影響を受けやすく、
苦しい生活を余儀なくされていました。少数民族ゆえに、政府の支援も届きません。
 生きるすべを求めて、やむなく村を出、都会をめざす若者たち、、、。

 存続の危機に立たされたこの村で、農業経営安定に必要な二毛作を成立させるため、
JAFS関東地区会では、他の地区会とも協同で、灌漑用井戸建設を支援してきました。
それが「ラカイン村・夢・プロジェクト」です(くわしくは、こちら

 パネールチョラ村の子どもたち
  (パネールチョラ村の子どもたち)

これまでの経緯

 プロジェクトを進めるため、JAFS関東では、ぞうすいの会や、
チャリティコンサートグローバルフェスタJAPANなどの活動で、
皆様にご支援いただいた参加費、募金、販売収益金などを、2009年から積み立て、
2011年秋に、それまで積み立てた約100万円を当面の井戸建設資金として、拠出しました。

 現地では、2011年11月中旬から着工準備(井戸掘り道具,場所選択,枠組み工事など)
に取り掛かり、井戸の掘削を開始。遂に12月17日に(第1井戸が)水脈に到達。
水量・水質ともに問題ないことも確認されました。
 冒頭の2枚の写真は、そのとき現地からの報告として送られた来た、
第1井戸・第2井戸の写真です。

ラカイン村 第一井戸の掘削工事(1) ラカイン村 第一井戸の掘削工事(2)
  
(第1井戸の掘削工事の様子です)

井戸完成までの道のり

 工事は、簡単に進んだわけではありませんでした。
 井戸掘り業者との交渉や、掘削場所の土を柔らかくするために必要な大量の牛フンの調達、
長期間の使用に耐える水源まで深く業者に掘らせるための交渉、
その交渉のために水源地層の岩石層に関する専門知識の勉強、
仕事の進み具合の監査、完成後の水質・水量の検査などなど、、、
 特に、第2井戸では、土壌の質により、掘削した穴が再び埋まってきたり、
フィルターに詰まったり、様々な問題を解決しながらの、工事でした。

 掘削工事の完了により、噴出する井戸水を眼にし、村の年配の人からは、
「農作業する私たちににとって欠かせないものが手に入った。本当にありがたい。」
感激の声が上がりました。

画像をクリックすると
工事の様子を動画でご覧いただけます。⇒⇒
動画:バングラデシュ ラカイン族の村での灌漑用井戸掘削工事

引き続く支援

 掘削工事の完了後、この井戸を灌漑用設備として、機能させるために、
更に取り組むべきことがありました。
 ・村外にある第2井戸を損壊から守るための井戸小屋の建設
 ・井戸の維持管理方法の具体化・運営
 ・適切な水の利用方法に関するルール作り
などです。

 引き続く支援のため、JAFS関東では募金・各種イベントでの協力呼びかけを継続、
他の地域・個人・学校・団体様からの温かいご支援もいただきました。そして、
グローバルフェスタJAPAN2012(2012.11.6-7)の終了までに、
本プロジェクトの累計目標金額(180万円)を集めることができました。これにより、
プロジェクト推進に必要な、残りの資金援助を行うことが出来ました。

 第二井戸に完成した井戸小屋
 (第2井戸に完成した井戸小屋)

 田んぼに生まれ変わった土地
 (灌漑用井戸により生まれた、乾季にも耕作可能な田んぼ)

 これにより、第2井戸の井戸小屋も2012年秋に完成。
深井戸から供給される安全な水により、これまで耕作できなかった土地が、
二毛作の可能な田んぼに変わって行ったのです。

 3年間にわたる、多方面の皆様からの温かいご支援により、この「夢」を現実のものに
することが出来ました。心より感謝を申し上げます。

トエエモンさんから感謝の終了報告

 本プロジェクトの提案者であり、東京農工大・大学院で学びながら、
現地との調整・推進役を務めてきた、ラカイン民族の留学生トエエモンさんから、
本プロジェクトのまとめとも言える終了報告をいただきました。
 ご支援下さった皆様への感謝を込めて、ここに掲載させていただきます。

 ★バングラデシュ東南部ラカイン村井戸ブロジェクトの終了報告★

 バングラデシュ東南部に位置するコックス・バザール県ラム郡の農村の一つバネールチョラ村はラカイン人居住地です。村人は少数民族の中でも、最も数少ないラカイン族であり、昔から仏教等を信教している人々です。村には、全体で45世帯のラカイン族の人々が居住し、主に農業を営んで生計を立てています。村では、自然災害や農業インフラが整備されていないといった不利な農業状況のため、農家の期待涌りには農産物が栽培できず、自給用にも達していないことから、村人はいつまでたっても貧困の悪循環から抜け出せないままの生活を繰り返しています。
 雨期には一気に雨が降り出し農場が浸水することで、農家は思いどおりに農産物が生産できない状況にあります。反面、雨が降らない乾期になると、農場はカラカラに乾燥し農産物生産に適しない状態になります。そのような状況でも、当該地域では、農業インフラさえ整備されれば、農業生産が十分に増える余地があります。そして、農産物の増産は農家生計の改善のみならず、その地域の貧困の緩和と同時に、子供の健康と教育の改善に直接的または間接的に繋がっているのです。その上、少数民族であるために社会的また経済的に弱者となっている人々が十分に自立することに協力するという意義もあるのです。
 以上の事情を踏まえた上で、乾期でも栽培できて農産物の生産が可能となる支援を行うことが農業増産により効果的であると考えました。そうして、アジア協会アジア友の会(JAFS)の協力を得て、2010年に村に2基の深井戸を建設するブロジェクトが立上がりました。深井戸建設により、乾期栽培だけてはなく、雨期栽培が可能となり、ニ毛作を行うことが出来るようになることが期待されたためです。

 バネールチョラ村では、そのような理解と期待に基づき、農業水利施設等インフラ建設事業として、2基の深井戸掘り事業をJAFSと村人の相互協力で実施することになりました。また、井戸建設後は、村人による共同管理と運営により事業を継続するという体制をとるよう、2010年当初から取り組んできました。ただ、事業を開始するにあたってば、予算をまかなうだけの資金を集めるのが一苦労でした。個人寄付をいただきながら、JAFS関東が支援の中心となり、コツコツと雑炊の会、グローバルフェスタ等を通じた資金集めを行っているうちに、天王寺高校、天分塾、甲南女子大学、企業等からの支援などで、予算に十分な資金が集まるようになりました。

 以上、事業の立ち上げと資金集めを簡単に説明しましたが、以降の現場での仕事も簡単な作業ではありませんでした。なかでも、井戸掘り乍業の開始までが最も大変でした。業者と交渉した結果、作業準備などでミスマッチが生じ、作業時期の若干の調整、というより作業が延長されるといったこともありました。
 実際に、井戸掘り道具運び、場所選択、井戸を掘るための枠組み作りといった、第1基目の井戸掘り作業を開始したのが2011年11月ごろからでした。第1基目の井戸は管理のしやすさを念頭において村内に建設することにしました。井戸掘り作業は、基本的に24時間無休で、労働者の交替体制で実行し、第1基目は深さが670フィート(約200メートル)で水源にあたりました。そして、深さが800フィート(約240メートル)の第2基目の井戸は、村から離れた場所に建設することにしました。その周辺は、乾季には元々農業用水が引けない場所であったため、井戸建設以前は、周辺の農場はほとんど放置状態に置かれていました。 
 しかし第2基目の井戸が完成した当時から、その周辺でかつて乾期には完全に乾燥していた農場が、ほぼ2毛作が可能な縁の田んぼに生まれ変わっています。当時、現地農家のある年配の方からの大喜びの声がJAFS報告書に載ったことを覚えておられる方もいらっしやるでしょう!! また、村外の井戸では、管理ハウスを作らなければならなかったのですが、井戸自体は2012年初に完成したのに対し、村外の井戸の管理ハウス建設等が完全に終了したのは、2012年の後半でした。

 JAFS本部の皆様と、支援の手を差し伸べてくださったJAFS関東の皆様には、全力のご協力を頂き本当にありがとうございました。井戸は村人たちで確かに管理して、末永く使用していきたいと考えています。また、同様の事業は社会的立場や経済力が弱い人々の生活状況を改善し、子供の健康や教育を支えることに繋がることから、事業の成果は長く続くことが期待され、事業としての価値は短期的な経済的価値を超えるに違いないと思っています。
-トエエ モン

(このプロジェクトの詳細は、本ブログの以下の記事をご覧ください)

 ・ラカイン村・夢プロジェクト 募金協力のお願い
 ・バングラディシュラカイン族の村の置かれた現状について
 ・ラカイン族の歴史
 ・バングラデシュの少数民族:「ラカイン族」


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